液状のメモ帳

中身が漏れています。

D3400を半年使ってみてわかった、野球用カメラに必要なスペック・いらないスペック

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野球を撮るためには

・基本網の間から

・かなり遠くの素早い被写体を

・ナイターや室内等の暗いところでも

 撮れるカメラである必要がある。

が、実際にカメラを買って扱ってみるまではどのスペックが重要なのかがわからず、野球に特化したカメラの解説記事も見当たらなかった。そこで、カメラ未購入者向けに重要なスペック・そうでもないスペックの解説をメモしておくこととした。

ここで言うカメラはレンズ交換式カメラのことを指す。

 

※なお自分はNikonのエントリー一眼レフ機であるD3400を半年ほど使っただけの初心者のため、的はずれなことを書いている可能性も十分にあります。もしも内容に疑問がある場合はコメントやTwitter上で指摘していただけると助かります。

 

★特に重要なスペック
◯カメラのセンサーサイズ
カメラは外界の光を写し取るものなので、光を取り込むセンサーの性能が画質に直結する。センサーの性能は基本的には大きさに比例する。

一眼レフカメラではフルサイズ・APS-Cサイズが主流で、ミラーレスカメラではマイクロフォーサーズ(4/3型)が主流である(2017現在)。サイズはフルサイズ>APS-Cマイクロフォーサーズである。

センサーサイズについてはこちらのサイトが参考になる。

画像センサー(CCD・CMOS)の大きさ比較
マイクロフォーサーズカメラ対応のレンズは少なく、フルサイズでは遠くを撮りにくい(次のレンズの項で説明する)ので、個人的にはAPS-C機をおすすめする。

 

◯レンズの望遠性能
野球撮影には望遠レンズがかかせない。望遠レンズの性能は焦点距離を見ることでわかる。例えば自分の所持する一眼レフD3400の望遠キットレンズは70-300mm(この数字が大きいほど遠くを撮れる)である。
ややこしいのは、カメラのセンサーサイズによって同じ焦点距離のレンズでも見え方が変わるということだ。センサーサイズが小さいほうが、写真の映る範囲が狭くなる(画角が狭い)ので、結果的に遠くのものを大きく撮ることができるのである。

詳しくは下記のサイトを見てほしい。

焦点距離と画角の関係。35mm換算とは結局何なのか。 - あめたまびより

結局そのカメラとレンズを組み合わせるとどの程度遠くを撮れるのかというのを表すために、35mm換算というものがある。この35mmというのはフルサイズカメラのセンサーサイズのことである。
例えばニコンAPS-C機はフルサイズのカメラより1.5倍遠くのものを撮れる。300mm望遠レンズを付けたとき、35mm換算の焦点距離は450mm、つまりフルサイズのカメラに450mmのレンズを付けたのと同じような見え方になる。
上の項でフルサイズ機よりAPS-C機をおすすめしているのは、フルサイズだと望遠効果が薄くなるからである(もちろんトリミングすれば同じことなのだが、1日に数千枚撮ることもある野球撮影において、写真をいちいち拡大して見なくてはならないというのは非常に煩わしい)。

カメラ本体よりレンズの方が往々にして高いし、あまりに大きく長いレンズは持つのも大変で、周りの人の迷惑にもなる。
野球撮影の場合、APS-C機+300mm=35mm換算450mmが一つの目安となる。このくらいの長さがあれば、外野席から投手の指が見れる程度にはっきり撮ることができる。

参考までに、以下の写真はAPS-C機であるD3400+300mm望遠レンズで、神宮外野ライトHブロック中段から撮った6000×4000の写真を1440×1440にトリミングしたものである。明るさ調整等はなし。

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◯レンズのオートフォーカス速度

レンズによってピント合わせ=オートフォーカス(AF)にかかる時間は結構変わる。

一眼レフ市場における2大メーカーはキヤノンニコンであるが、キヤノンの方がキットレンズでもAFがかなり速い印象を受けた。それにもかかわらず自分がニコンのD3400を選んだ理由は、望遠キットレンズのAF-Pレンズが望遠端300mmまであり(キットレンズの多くは250mm)、かつAFがキヤノン並に速かったからである。AF-Pレンズはステッピングモーター(キヤノンで言うSTM)を使用した新型レンズで、従来のAF-SレンズよりかなりAF速度が速い。

AF速度はカタログスペックだけではわからないので、実際に店頭で試してみるしかない。新しいレンズを買うときには、そのレンズが実用に耐えうるAF速度であるか事前に確認しておいたほうが良い。

 

ISO感度の高さ
ISO感度とは、カメラが光を捉える能力を表す値である。カメラは光を電気信号に変えて処理する。ISO感度を上げるとは、この電気信号を増幅することである。
野球撮影の場合、被写体の動きが速いので、カメラが光を取り込む時間(シャッタースピード)をかなり短くする必要がある。自分の設定では、基本的に1/1000~1/1250秒にしている。
これほどシャッタースピードが短いと、肉眼で見て暗いと感じない場所でもカメラにとっては光不足となり写真が真っ暗に映ることがある。この時、ISO感度を上げて光の信号を増幅すると暗い場所でもきちんと撮影ができる。

D3400+望遠端のF値(次項で解説する)6.3の暗いレンズを使っている自分の場合は、神宮ナイターの内野ではISO12800まで上がる設定で撮っている。ISO12800またはそれ以上上げられる設定にできるカメラが良いと思われる。

ISO感度をあげるデメリットは、上げれば上げるだけ写真のざらつき・ノイズ感が出てくることである。具体的にどのように見えるかは次のサイトを見てほしい。

ISO感度の目安。 シチュエーション別これがオススメ!という数値。【初心者向け】| 写真で伝える情報サイト Photo力-フォトリョク-

ISO感度は本来は低く抑えるのが望ましい。しかしISO感度が十分に上げられないと撮影自体が満足にできなくなる。ISO上限は買った後に変更の効かないものであるため、事前に確認しておいたほうが良い。

同じISO感度でもカメラのノイズキャンセリング性能によってざらつき感の軽減具合が変わることもある。ただそれを気にするのは一台目のカメラをある程度使った後で良いと思う。

 

◯レンズのF値(開放F値)

F値とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことであり、開放F値とはそのレンズで可能な明るさの上限である。F値が小さいほど多く光を取り込めるレンズであり、価格が高くなる。

F値の値が小さいレンズを使うと、網が消しやすくなる、ISO感度を低く抑えることができるためナイター撮影での画質が向上する、背景がボケやすくなり被写体が引き立つ、スタンドの観客の顔もボケるためSNS等に写真を上げる際にボカシ等の修正をかける手間が減るなどのメリットがある。F値については次のサイトを見てほしい。

デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - 露出 | Enjoyニコン | ニコンイメージング

デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - レンズ | Enjoyニコン | ニコンイメージング

ISO感度がある程度高くまで使えるカメラであれば、F値の大きい暗いレンズでも撮影は可能である。画質・ボケを求める場合はF値を気にしたほうが良い。

 


★いらないスペック
◯AFポイントの多さ
AFポイントとは、被写体にオートフォーカスする点のことである。
自分が一眼レフを買ってかなり意外に思ったのは、野球撮影において沢山のAFポイントは必要ないということだ。カメラは基本的に一番近いものにオートフォーカスするので、すべてのAFポイントからカメラが自動でピント合わせするモード(オートエリアAF)だと結構な確率で網にピントが行く。自分の場合、ほぼすべて中央一点のシングルエリアAFで撮っている。
青空を飛ぶ一匹の鳥を撮る場合は必要となるだろうが、ほぼ常に被写体の前に網がある野球撮影においては沢山のAFポイントは必要ない。
(網のない場所で撮れるプロスポーツカメラマンは使っているのかもしれないが)

 

◯タッチパネル
基本ファインダーを覗いて撮影するので、背面の液晶パネルを触る機会はあまりない。D3400にはタッチパネルはついていないが、欲しいと思ったことは一度もない。

 

◯バリアングル・チルト液晶(要は液晶画面を動かせるカメラ)

ローアングル・ハイアングルで撮る場合には必要となるが、球場でローアングル・ハイアングルが必要となる場面はほぼない。自主トレ期間中の戸田球場で、ブルペンを網の上から撮影しようとした時に「液晶を動かせるタイプの方が良かったかもしれない」と思ったことはあるが、非常に限定的なシーンである。基本的には野球のみで使うのであれば必要ない。

ただ、野球以外にも花などを撮影する、自撮りをするなどの場合は必要になることもある。

 

 

以上、参考になれば幸いです。この記事を見てカメラを買った人は、東京ヤクルトスワローズ小川投手・星投手の登板時に球場行った際、Twitter等にお写真流してくださると長文を書いた苦労が報われます。何卒よろしくお願いいたします。